経営者の皆様へ

写真:所長 奥富進介

皆様お世話になっております。
奥富進介会計事務所の所長奥富進介でございます。
コロナ禍まっさかりの2020年8月に独立開業しました。
おかげさまでお客様にも恵まれはじめ日々業務に邁進しております。

弊事務所は税理士事務所の他、公認会計士事務所も併設しており中小企業経営の経営支援機関としての認定を受けております。また昨今の事業承継の大きな流れに鑑みM&A支援機関としても登録をしており、経営全般にわたる相談に対応できる体制を誇っております。

この頃都に流行るもの

さて開業からこっち中小企業支援を主軸として業務を行っていく中、強く感じる事があります。
時節柄顕著なのですが、もう少し早くお問い合わせ頂ければという案件が多い事です。
金融機関への計画書提出、会社売却に際する企業買収監査、廃業に関する相談等でお客様の状況を見聞きするにつれて「なんでこんなになるまで気付かないかな」と痛切に感じます。
会社は昨日今日で急に傾く訳ではありません。東洋医学では「ただ症状が出ていないだけ」の病んでいる状態を「未病」と言います。今般のコロナ禍で急激に経営が傾くという点は考慮すべきですが、それでもコロナ禍が顕在化して2年近く経ちます。国の支援も厚いといってよいでしょう。軟着陸のチャンスはどこかであったはずです。
この予期できるサドンデスに遭遇する法人のパターンは以下の3つと考えております。

  • そもそも病んでいるという認識がない
  • 認識しているがまだ大丈夫だろうと危機の見積を誤っている。
  • 事業価値の増加以外に経営の目的をおいている。

認識がないというのは長い啓蒙活動くらいしか処置なしとして、それ以外はある実務を整備することにより多くのリスクを回避する事が可能です。その実務とは事業計画の作成及び適宜適切な会計報告です。以下に経営管理のアルファでありオメガ、肝臓にして腎臓、予防医学にしてフィジカルトレーニングである事業計画と適宜適切な会計報告について記します。

事業計画とは

写真:業務中のイメージ

事業計画は経営者と利害関係者をつなぐコミュニケーションツールであり、これが共有されることにより、会社のストーリーが動きます。
なりたい姿、出来る事を積み上げてストレッチを続ける事で「やらなければならない事」を導きだします。そして日々の業務で「やった事」と「やらなければならない事」を比較分析して改善し続けるのです。

適宜適切な会計報告の必要性と効用
自身の経験や多くの知見を集めて作成した事業計画でも適切にモニターをしないことには絵にかいた餅です。計画通りに実行されているかを確認するためには日々の実績を確認する必要があります。
ここで適宜、適切な会計処理の必要性が圧倒的な存在感をもちます。

「ウチはちゃんと記帳している」という方もいますが、言行一致はまれな事象です。
特に端的な例で実体験を紹介しますと、企業の買収監査や株式公開の予備調査という他社に初めて帳簿を深堀される機会で顕著です。
公認会計士が帳簿を調査すると財務諸表が一変します。純資産(資産-負債。ざっくり企業価値)○○くらいですから○○円くらいで会社売れるかな?という目測をたてても一転債務超過という例も普通にあります。
理由は経済取引の捉え方の誤り、経理担当の背信、経営者の不正等諸々の理由がありますが、とまれ誤った会計処理が真実の姿を歪め取り返しがつかないことになる事例は珍しい事ではありません。会計処理という兎角軽んじられ、後回しにされる業務ですが、生殺与奪の判断の際に最も重視される業務に関わっているのです。

事業計画の作成に真摯に取り組んだ経営者でしたら上がってきた会計数値を確認して「ん、なんでこんな数値になるんだ?」となります。この段階に至るともう会計業務は些事でありません。一番の関心事になります。そして潜在的な問題点は事前に発見、対処され今後事業の足を引っ張る事はありません。

事業計画の効用~孤独からの解放~

事業計画は利害関係者との約束です。
事業計画には事業推進のための設備投資計画、人事計画、資金計画が盛り込まれます。
計画というのは業務に精通した経営者が市場動向、自社の経営資源、今後の予測を踏まえて情報を整理し作成するものです。作成の過程で客観的な第三者の意見が入り「考慮不足の前提、甘い見積もり、逆に保守的な見積等」を調整すると「あれ、なんか思ってたのと全然違う」姿になることが往々にしてあります。
漫然とした不安は一旦すべて書き出してしまうと具体的なタスクになるため、不安を解消するのみならず「よしやるぞ」とモードを完全に転換する事ができます。
事業計画を作成し共有することにより不安は解消され具体的な実践内容になり同時に自身で抱えていた不安が、利害関係者に共有される具体的な課題に昇華されます。
経営者は本質的に孤独なものですが、なにも一人で苦しみ事業の価値を下げる必要はありません。事業計画書を作成、共有し自身以外の知見を利用しましょう。一人で抱え込むより何千倍も生産的で精神衛生上にも良いです。

事業計画の効用~意思決定材料~

写真:手帳のイメージ

事業計画を作成し、「やるべき事」を日々の業務に落とし込み帳簿もきちんとつけるようになると今後の経営はぐっと安定感が増します。

事業計画通りにうまくいかない時は「やるべきことが出来ていない」か「計画が身の丈にあっていない」が主因です。前者であれば日々の蓄積を基に改善を進めます。担当者と認識の擦り合わせをし、進捗の確認、打ち手の奏功具合や更なる打ち手の検討を行います。
後者の場合には前提である市場状況や社内のリソースの見積を誤っているので計画の修正が必要になります。修正した場合の損益や資金繰りの影響を勘案して実現可能なレベルへオペレーションを調整します。
さて、ここでどう見積っても自社の経営資源では好転しない事が判明する場合があります。
この場合取る手段はいくつかありますが主な打ち手として「外部に経営資源を求める」方法があります。それが会社の売却というのであれば、その事実をこの世で最も早く把握するのは経営者であるあなたです。事業価値毀損の兆候が露わになる前に最速・最高の打ち手を検討しましょう。事業計画の結果は会社の様々な局面で最も重要な意思決定材料になります。

事業計画の効用~公的支援の呼び水~

世界一中小企業支援に厚いと言われる日本。そのインフラを経営のために使用しない手はありません。我が国はアグレッシブ且つ適切に経営を営む中小企業に対しては各種補助金や金利、税制の優遇等の政策支援を行っております。
そしてその優遇の条件は事業計画、適切な会計記録の作成が必須となっております。

事業計画の効用~金融機関とのコミュニケーション~

写真:打ち合わせのイメージ

昨今は金融機関の融資判断において、対象企業の現在から将来にわたる定性的情報を評価することが重視されており、当然に事業計画も判断材料に含まれております。全方位のリスクオンをした事業計画と適宜適切な会計報告は融資に際して非常に重要です。積極的な情報開示を行う事は必須の実務です。

事業計画の効用~最も効果的な節税~

事業計画の作成は節税にも不可欠です。事業計画には投資計画、人員計画も含まれます。政府の政策は全て税制であるといっても過言ではありません。我が国が中小企業支援に厚いと先述しましたが中小企業の生産性向上のための投資や雇用の確保には様々な優遇税制が用意されています。
「事業が利益の出るタイミングで適切な投資をする。」これが一番の節税です。
そのタイミングはいつなのか?を把握するために事業計画は必須なのです。

上記、記載の通り事業計画の作成とその有効性を担保する適宜適切な会計報告は経営管理の第一歩です。その後どう歩んでいくかについては有効な打ち手が数多く存在しますし、多くの優良企業では実際に運用されて成果を上げています。
当たり前の事を当たり前にやる事で軽減されるリスクが最小化され得られるリターンが最大化します。奥富進介会計事務所は経営者の凡事徹底に伴走し共に課題に取り組む中小企業支援専門の事務所である点を最後に強調し皆様へのご挨拶とさせて頂きます。

公認会計士/税理士
奥富 進介